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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

衣類の穴あき(虫食い)のご紹介

 季節はすっかり秋になり、春・夏衣料を多くの人が衣装箱などに防臭剤とともに収納していることと思います。このレターでは、衣類の虫食いについてお伝えいたします。
 衣服に食害を与える害虫には、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、イガ、コイガの4種類の幼虫が知られていますが、「ヒメマルカツオブシムシ」による被害数が最も多いとされています。
  
  
写真1 ヒメマルカツオブシムシ     写真2 ヒメマルカツオブシムシ
      (成虫:2.5mm)            (幼虫:4.0mm)


 この成虫(体長 2.5mm)は白系統の花の蜜を好むので、野外にある白い花(キダチコンギクなど)や外に干している白い洗濯物などに付いて室内に侵入し、幼虫の食料となるウールや絹などの繊維製品に卵(楕円形の乳白色で大きさは約0.6mm)を産み付けます。(産卵は秋)


   
写真3 キダチコンギク

 卵を産み付けられ衣装箱などに収納された羊毛・絹・獣毛などタンパク質系の衣服は、羽化し暗所を好む幼虫が蛹化(3〜5月)するまでの約300日間の餌になり続け、穴あき状態になって発見されるといった次第です。

 菊池生物医学研究所の菊池、奥山による「幼虫の口器と繊維の食断面との関係に関する研究」によれば、「ヒメマル幼虫口器の内部には鋭い三角形又はへ形の歯板が・・・ヒメカツでは・・・断端は鋸歯状または・・・」として、幼虫の歯の形態・構造の痕跡が繊維切断面に残るとしています。(口器の写真→図説繊維の形態(繊維学会編)p363〜365)

 素材応用技術支援センターに、「クリーニング事故ではないか?」として、小さな穴の空いた衣服が持ち込まれることがありますが、走査型電子顕微鏡で穴あき部分の繊維を観察すると、「噛跡」(写真4)が明確に確認されることがあり、クリーニング後の保管方法に問題があったことがうかがえます。

 
 
写真4 ヒメマルカツブシムシによる噛跡


 
写真5 噛跡ではあるが歯形が不明

 大切な衣服の衣替えに伴う保管にあたっては、クリーニングとともに防虫剤を使用することをお勧めします。

 連絡先:新潟県工業技術総合研究所 素材応用技術支援センター
     TEL0258−62−0115



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