本文へスキップ

新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

TEL. 025-247-1301

〒950-0915 新潟市中央区鐙西1-11-1

第3回エネルギーハーベスティング技術セミナーを開催しました

 12月13日(木)に、(株)セラテックエンジニアリング代表取締役社長の岡本正昭様と、(株)TESニューエナジー代表取締役CEOの藤田和博様を講師としてお招きし、第3回エネルギーハーベスティング技術セミナーを開催しました。お二人の講師からは、振動発電と熱電発電の具体的な開発事例について、サンプル製品の実演も行いながらご講演いただきました。

≪講演1≫
「圧電振動発電デバイスの開発・技術動向と具体的な応用事例および今後の展開」
(株)セラテックエンジニアリング 代表取締役社長 岡本正昭 氏

  
 
 補聴器を製造するリオンの子会社で1956年に設立。当初は音響機器用合成樹脂部品を製造し、その後に圧電セラミックを製造。用途はライターやコンロの点火素子、加速度センサ、圧電振動によるパーツフィーダ等。現在は、日本ではエネルギーハーベスティング、エコ発電関係の開発を行い、点火素子の製造は中国で行っている。圧電素子は可逆特性、圧力や歪を電気に変え、電気を歪や振動に変えるので利用分野が広い。中小企業の皆さんからアイデアを出していただき、産産連携でアプリケーションを広げて行きたい。
 開発事例としては、
・人が踏むことにより発電してLEDを点灯させる「圧電マット」。
・JR総研と共同で「騒音低減システムを開発」。変電所のブーンという音をアクティブに減衰し、近隣からの苦情がなくなる。電車騒音等の遮音板にも使った。
・道路工事における「車両接近警報システム」。
・トンネル工事現場における「土砂崩落事前感知警報システム」。
・火災現場等、騒音下で指示を確実に伝える手段として「ヘルメット通信」。圧電スピーカーと骨伝導マイクを使っている。
・一定の風速以上になったら発電する「強風検知警報システム」。
・病院等において、ベッドの脚と床の間にセンサを挟み込み「非接触で生体をモニタリングするシステム」。心拍、呼吸、起き上がり、寝返りも検出できる。法政大学と共同で川崎市の補助金を活用。
 等である。用途先の振動・衝撃条件に応じた圧電素子の開発が可能である。圧電素子の性能を決めるポイントは、材料の成分もあるが形状の方が要因として大きい。
圧電素子は様々な場面で利用できるので、是非とも新潟県の企業と一緒に開発を進めて行きたい。


≪講演2≫
「熱電技術の発電鍋への応用と商品化」
(株)TESニューエナジー 代表取締役CEO 藤田和博 氏
   
 2000年に産業技術総合研究所で発見されたP型酸化物半導体の製品化を進めるため、2010年5月に設立された産総研発の技術移転ベンチャー企業である。緊急時、アウトドア、系統電源が無い場所、工場廃熱の利用などにおいて、身近にある熱(廃熱)から必要な電気を得る製品を開発している。酸化物系の発電素子は300℃以上の温度領域で発電効率が高いが、他の素子と併用することで幅広い温度領域に対応している。
 東日本大震災の被災地で、焚火で暖を取っている映像を見て、焚火の熱で携帯電話に充電できないかと思い発電鍋を開発した。災害だけでなくアウトドアやアフリカ等のインフラ未整備の地域でのニーズがある。アフリカでは電力網の整備が十分でなく、発電鍋で子供たちの夜間学習が可能となった。また、急速に普及している携帯電話の充電インフラとしても利用されている。
 廃熱利用では、工業炉の廃熱から220℃の過熱蒸気と90℃の温水と約1kWの電力を回収した。新しい挑戦として、発電鍋と太陽光発電のハイブリッド発電によるWonder Wagon(発電する屋台)を開発した。また、焚火発電では、最大160Wの発電と40℃300ℓのお湯を得ている。
 廃熱は有効的なエネルギー源であるので、廃熱利用に興味のある新潟県の企業と一緒に開発を進めて行きたいと考えている。

 ご講演いただいた2社は、振動発電と熱電発電の要素技術を保有しており、そのアプリケーション開発として新潟県内の企業との連携を望んでおられます。2社へご連絡を取りたい方、または、エネルギーハーベスティング技術にご興味のある方は、
下越技術支援センター星野 
(TEL:025-244-9168,E-Mail:enhv@iri.pref.niigata.jp)までご連絡ください。




バナースペース

新潟県工業技術総合研究所

〒950-0915
新潟市中央区鐙西1-11-1

TEL 025-247-1301
FAX 025-244-9171