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平成25年度 ものづくり技術連携活性化事業 活動報告



 工業技術総合研究所では、将来性の見込める有望な産業や新技術を調査し、研究開発テーマを設定することを目的として、「ものづくり技術連携活性化事業」を実施しています。

 研究会を組織し、目標とする市場動向や技術動向を調査し、会員企業への情報提供を行うとともに、県内企業による研究開発の可能性等を模索しています。

 今年度は、下記の6テーマについて研究会を設立し活動を行っています。

 これまでの活動の中からトピックスや技術情報をご紹介します。

 1.次世代パワーエレクトロニクス研究会
 2.エネルギーハーベスティング研究会
 3.高張力鋼板成形技術研究会
 4.CFRP成形研究会
 5.炭化綿活用研究会
 6.微細加工研究会


「次世代パワーエレクトロニクスに関する調査研究」
目的 電力変換の高効率化の目的で、新規パワーデバイスの利用技術を確立し、県内中小企業の新エネルギー関連分野への参入を図る。
調査結果・
トピック
・次世代パワーデバイスは学会では活況を呈しているが、市場はSiCのダイオードおよびMOSFETが市販されているのみで、GaNなどはサンプルレベルが提供されているのみの状況である。
・アンケートによれば、県内企業は、従来のパワーエレクトロニクス技術は製品化しているが、次世代デバイスへの取組はまだ様子見の状況である。(下図グラフ参照)
・次世代デバイスはその特徴である、高効率化、高周波化、小型化を特に必要としている分野から応用を図る動きがある。

関連技術セミナー参加企業アンケート結果
今後の展開 ・従来製品の小型化、高効率化を図るために次世代パワーデバイス利用による製品開発、評価について、国や県の資金獲得を検討している。
・次世代パワーデバイスの応用先のひとつとして、非接触給電への展開の可能性もある。
問い合わせ 新潟県工業技術総合研究所 研究開発センター 五十嵐 晃
電話 025-247-1320

「エネルギーハーベスティング技術に関する調査研究」
目的 エネルギーハーベスティング技術を用いて、自社製品の省エネ化やセンサーネットワークなど新たな付加価値を持った製品開発に繋げる。
調査結果・
トピック
・周りの環境から未利用のエネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する技術で、振動、電波等から得られる電力は小さい。
・橋、道路、トンネル等のインフラの老朽化が進んでおり、振動を電力に変換して老朽度をセンシングし、無線ネットワークで監視するシステムの開発が進められている。
・排熱を利用する技術は、熱電変換素子、バイナリー発電、スターリングエンジン等があるが、なかでも熱音響機関は構造が簡単で今後有望な技術である。
今後の展開 ・熱音響機関を使った発電システムを実用化するため競争的資金への提案を目指す。
・微小な電力でもセンシング可能な用途を探し、研究課題の提案を目指す。
問い合わせ 新潟県工業技術総合研究所 下越技術支援センター 大野 宏
電話 025-244-9168

「高張力鋼板のプレス成形技術に関する調査研究」
目的 超高張力鋼板のプレス成形技術を確立し、軽量化高強度化が進む自動車分野、自動車用プレス成形金型分野への参入を図る。
調査結果・
トピック
・自動車の軽量化・高強度化が進み、骨格部品を中心に引張強さ980MPa以上の超ハイテンの採用が増えてきている。特に強度を要する部品では、1.2GPa級超ハイテンの採用が始まっているほか、ホットスタンプ(ダイクエンチ)により1.5GPa級以上の引張強さを持つ部品も製造されている。
・県内でも、超ハイテンの成形実績を持つプレス加工メーカー、プレス金型製造メーカーが認められる。一部企業において、自動車部品以外へのハイテンの採用または取り組みが見られる。
・ハイテン成形上の代表的な課題として、スプリングバックに代表する形状精度・寸法精度不良、成形性の悪さからくるしわや穴拡げ成形時の割れなどが挙げられる。
・成形性向上を図るため温間プレスの取り組みも報告されているが、成形温度が比較的高いこと(600~700℃以上)に加え、材料特性の低下を防ぐために対象材料が限定される。
今後の展開 ・穴拡げ性試験やスプリングバック試験など基礎的な試験を実施し、課題解決のための法案を検討する。
・県内企業ニーズに対応した研究課題の提案を目指す。
問い合わせ 新潟県工業技術総合研究所 研究開発センター 白川 正登
電話  025-247-1320

「CFRPを使った製品製造技術に関する調査研究」
目的 熱可塑性CFRPを中心に、プレス成形、射出成形よる製品開発の可能性について調査研究を行う。
調査結果・
トピック
・県内では、熱硬化性CFRPの企画・成形・販売を行っているメーカーが数社確認された。一方、熱可塑性CFRPについても、研究開発に取り組む企業が現れてきている。
・県内企業では、CFRPの織目を見せる質感を活かした生活用品関連分野の製品開発への要望が増えていることから、熱可塑性CFRPシートの成形に関する知見を得ることを目的に、各種条件による実験を行うとともに研究会参加企業を対象に実習を行った。

【実習】
プレス機: アイダエンジニアリング(株)サーボプレス NS1-2000
熱可塑性シート:GFRP(樹脂:PPおよびTPU)
参加者数:20人
参加者は、金属加工業の方が多く、シートの温度管理の重要性や金属の塑性加工との違い等を確認していた。

実習の様子      試作品(GFRP)
今後の展開 熱可塑性CFRPの成形技術について、競争的資金への提案を目指す。
問い合わせ 新潟県工業技術総合研究所 県央技術支援センター 土田 知宏
電話 0256-32-5271

「綿の炭化及び微細化による機能性材料の開発に関する調査研究」
目的 活性炭の4倍の吸着性能を有すると言われている炭化綿のメカニズム等について調査研究し、空気浄化装置、廃水処理装置への活用を図る。
調査結果・
トピック
・不活性ガス下で炭化処理および炭化処理後の水蒸気処理(賦活化)を行い、布状やわた状での綿の炭化物を試作した。
・簡易な炉を用いて賦活化処理を行う装置の試作を行っている。
今後の展開 ・空気浄化装置及び廃水処理装置の実用化に向けて研究課題の提案を目指す。
・簡易装置による賦活化処理技術の開発を目指す。
問い合わせ 新潟県工業技術総合研究所 素材応用技術支援センター
 明歩谷 英樹  電話 0258-62-0115

「精密微細加工技術に関する調査研究」
目的 精密微細形状を付与した部品需要の増加に伴い、企業には高度な微細加工技術が要求されている。これらに適用される切削加工、電鋳技術についての調査研究を行い、精密医療部品・電子機器などの高付加価値分野への参入を図る。
調査結果・
トピック
[試作実験の例]
○ニッケル(Ni)電鋳型形成用マスター基板の試作実験およびNi電鋳面の硬質化試験
・目的:
①フォトリソグラフィー技術による高アスペクト比形状形成プロセスの開発
②Ni電鋳型の表面硬質化による射出成形金型としての耐久性向上
・結果:
①化学増幅型フォトレジストを使用し、角度調整可能な高さ500μm超の円錐台形状パターンを作製した。
②ニッケルリン(NiP)メッキをした後にNi電鋳を行うことで、Ni電鋳単体の約2倍の表面硬度が得られた。
 

1 フォトレジストで試作した円錐台形状  2 電鋳面へのNiP付与プロセス

今後の展開 企業の製品開発ニーズに対応した研究課題の提案などを行う。
問い合わせ 新潟県工業技術総合研究所 研究開発センター
 レーザー・ナノテク研究室 佐藤 健
電話 0258-47-5171


 お問い合わせ
  新潟県工業技術総合研究所  企画管理室
   TEL 025-247-1301



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