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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

マ ン ガ ン 絣 に つ い て


 見附市の若手女性職員がプロジェクトを形成、地場の繊維技術を用いたクールビズシャツの商品化を行い、さる5月28日アルカディアホールで発表を行った。(
※1※2)

       
            写真1               写真2

 この商品化には、マンガン絣と野球のユニホーム(たて編み)といった見附の技術が利用されており、見附市民への地場技術の再認識につなげる狙いがある。

 ここでは、聞き慣れない言葉「マンガン絣」について概説する。

 マンガン絣は、大正4年に見附町の有力な機業家矢島丑松が県立染織試験場(現 素材応用技術支援センター) 染色課長 根元正七の指導により商品化に成功し、全国に広がっていった夏物用の染絣で、織絣と区別がつかないほど精巧なものである。(
※3)

 原理的には、マンガン染めした糸で織られた布帛の上にアニリン糊で紋様を捺染するとアニリンがマンガンにより酸化され、head-to-tailでパラ位に縮合し、紋様部分にだけアニリンブラック(染料の一種)が形成されるというものである。

 この技術の特徴は、非水溶性の酸化マンガンを繊維中に均一に含浸させる工程、すなわちマンガン染めにあり、絣名称の由来にもなっている。

 マンガン絣は、次の工程を経て製造される。

1.  マンガン染め
 綿糸(あるいは麻糸など)に塩化マンガン水溶液を含浸させ、ついで水酸化ナトリウム水溶液で処理し、不溶性の水酸化マンガンとする。水酸化マンガンは、空気酸化あるいは水中酸化を経て酸化マンガンとなり、糸に酸化力が付与される。

          
  写真3 職人の手作業による水酸化マンガン形成   写真4 水中酸化による酸化マンガン形成
 2. 白生地製織
 マンガン染めした糸で白生地を製織する。この際に、マンガン染め糸と未処理糸を交織することで、布帛に酸化力をもった部分と持たない部分を織り分けることが出来る。
 3.  アニリン糊による捺染(プリント)
模様型と塩化アニリン糊を用いて布帛にアニリンを型置き(捺染)する。

           
                写真5 アニリン糊による捺染
4. アニリンブラックの形成
 捺染された塩化アニリン(アニリニウムイオン,C6H5-NH3δ+)は酸化マンガンが付与されている糸の部分で酸化縮合を繰り返し、パーニグラニリン構造の色素(アニリンブラック)を形成していく。

      
 5. 還元洗浄
 充分に発色した布帛を亜硫酸ソーダ液に浸し、余剰の酸化マンガンを還元洗浄により除去すると白地に黒い絣紋様が浮かび上がる。

     
        写真6 還元洗浄後            写真7 絣紋様



※1 5月28日アルカディアホール小ホールで発表

      
       写真8 商品開発に関わった見附市長と市職員ならびに業界関係者

※2 第一ニットマーケティング(株)(見附市柳橋町270-1, 0258-66-4513)内に常設の直販コーナ(平日のみ)が設けられている。

※3
 「日本金融史明治大正編第23巻」大蔵省印刷局、昭和35年4月
  「見附織物のあゆみ」見附織物工業組合、平成元年

 写真1,2,8は、商品発表会でモデルを務めた見附市出身の地域活性化モデル今井美穂さんのブログより転載。写真3~7は、マンガン染めが継承されている(株)クロスリード内で撮影。

 見附市のクールビズプロジェクトの様子は、6月14日(金)19:30~19:55 NHK「金よう夜きらっと新潟/イラスト紀行(見附市)」で放送される。


 連絡先:新潟県工業技術総合研究所 素材応用技術支援センター
     TEL 0258-62-0115



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