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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

県央トピックス「新素材・CFRPの取組み」


 炭素繊維複合材料(carbon-fiber-reinforced plastic以下、CFRP)は、軽くて強い特徴を持つことから、様々な用途で活用が始まっています。航空・宇宙分野で多く使われている熱硬化性樹脂を用いた成形方法は、生産性が低く、オートクレーブを必要とするなど初期投資が大きな負担となっています。このため近年は、生産性、リサイクル性に優れ、初期投資の負担が少ない熱可塑性樹脂を用いたCFRPが注目され、自動車などへの採用も始まっています。

 CFRPとは、マトリックス樹脂を炭素繊維で補強した複合材料です。マトリックス樹脂には表1のようにエポキシなどの熱硬化性樹脂とナイロン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂に大別されます。

表1 熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の特徴
  特徴   樹脂
熱硬化性樹脂 ・賦形性が良好
・成形温度が低い
・高強度、高弾性率
・耐熱性に優れる
エポキシ樹脂
不飽和ポリエステル
フェノールなど
熱可塑性樹脂 ・成形サイクルが短い
・成形後、再加工が可能
・靱性が高い
・リサイクル性に優れる
ナイロン6、66
ポリカーボネート
ポリプロピレンなど

 CFRPの力学的特性を表2に示します。軽量高強度で比重は鉄の1/4比強度は鉄の10倍以上あります。耐衝撃性、寸法安定性に優れX線透過も可能です。そのほか導電性があり、腐食しない特徴があり、これらの特徴を生かした製品開発が進んでいます。

              表2 CFRPの力学的特性
材料  CFRP
T700S
 Fe
S45C
 ステンレス
SUS304
 Al合金
A5052P
 Mg合金
AZ31
比重  1.5 7.9   7.9  2.7 1.8
強度(MPa)  1,800 ~
2,500
 828  520  275  290
比強度(104m) 12 ~ 16   1.0  0.7  1.0  1.6
弾性率(GPa) 135~145  210  200  74  45
比弾性率(106m) 9 ~ 9.7  2.7 2.5 2.7 2.5

 県内企業も、市場の拡大が見込まれている携帯情報機器、介護用品、県内で生産している生活関連用品など身近な製品へのCFRPの適用に向けて取り組みたいという要望が増えており、当所では、企業と連携して熱可塑性CFRPの成形技術や用途探索について調査研究を開始しました。セミナーと実習を予定していますので、興味のある方はご参加下さい。

              CFRPセミナー・実習の計画
項目  開催日 場所
CFRP成形セミナー CFRP射出成形実習 新潟県工業技術総合研究所 県央技術支援センター
CFRP加工セミナー 10月予定 新潟県工業技術総合研究所 県央技術支援センター
CFRPプレス実習 11月予定 新潟県工業技術総合研究所 下越技術支援センター
CFRP射出成形実習 1月予定 株式会社川崎合成樹脂


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       県央技術支援センター
         TEL 0256-32-5271



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