本文へスキップ

新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

航空機産業参入推進事業 パリ国際航空ショーに見る航空機関連技術


 2013年6月17日~23日の7日間、パリ近郊のル・ブルジェ飛行場で開催。
 世界的エアーショーで、今回50回目を迎える。出展企業・団体数は約2000、来場者数は延べ30万人を超える。
 新潟市の単独ブースに、YSEC、佐渡精密、丸菱電子、高秋化学とともに当研究所も参加。


【技術動向】:複合材に注目。CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)の利用が増加。従来工法プリプレグ+オートクレーブからRTMへ工法転換の動き。一方、エンジン素材ではセラミックスベースの複合材やTiAl合金への関心が高い。とくに、TiAl合金は実用化が進んでおり、ボーイング787型機に搭載されるGEnxエンジンで、すでに低圧タービンブレードに使用されている。他のエンジンでも採用検討されており、今後の利用拡大が期待される。


          TiAl合金の特徴 比重はNi基合金の約半分

 話題の3Dプリンター製造部品も展示。加工能率・材料強度等の要求を満たすことができれば、適用拡大が予想される今後注目の技術。また、リペア技術のブースもいくつか見受けられ、コスト面で有利なことからエアーラインからのニーズが高い。

【日本企業の出展状況】:日本航空宇宙工業会(SJAC)とJETROがJAPANパビリオンとして構成。SJACブースにはIHI、川崎重工業、三菱重工業、富士重工業、ナブテスコ、大同特殊鋼、KYBなどが出展。JETROブースには、国内中小企業が数多く出展。他には宇部興産、日本エアテツク、由紀精密、ジャパンエアロネットワークなどが単独ブースで出展。

【その他特筆すべき企業】:中国二重(中国)は、世界最大級のプレス能力約8万トンのプレスを所有する企業、鍛造のほか、機械加工、熱処理も行っている。
KOREA LOST-WAX(韓国)は、タービンブレードなど製作(鋳造)する企業、一昨年の倍以上にブースを拡大。存在感を増しているようである。


 RTM(Resin Transfer Molding):カーボン繊維を金型にセットし、マトリックス樹脂を金型に注入して成形、硬化させる技術。工程短縮、自動化に優れるが、材料特性が劣るとされる。

TiAl合金:比重がNi基合金の約半分で同等の耐熱性を有している材料。比強度は、代表的なNi基合金718合金よりも1.5~1.7倍程度強い。軽量化に優れ、航空機の燃費向上に有用な材料。 

 9月10日開催のH25第2回航空宇宙分野参入研究会にて報告した内容の一部を、紹介しました。


 お問い合わせ
 新潟県工業技術総合研究所 研究開発センター
 相田専門研究員、須藤主任研究員
         TEL 025-247-1320



バナースペース