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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

【依頼試験・機器貸付】布帛状素材の熱伝導特性の計測


 朝夕の冷え込みが大きくなり、衣服素材の保温性や断熱性が気になる季節になってきました。

 素材応用技術支援センターでは、布帛・シート状素材について、カトーテック(株)KES F-7による、接触冷温感、定常熱伝導率、保温率の三種の熱伝導特性を計測することが出来ます。 

 本報では、これら三種類の熱伝導特性について概説します。



晩秋の朝霜


【接触冷温感(q-max(W/cm2))】

 真冬に冷えた布団の中に入るのは覚悟が必要ですね。

 冷たいシーツや布団に体温が奪われ”ひやっ”とする不快感は嫌なものです。

 接触冷温感試験は、素材(生地)が肌に触れた時、冷たく感じる素材か温かく感じる素材かを評価するものです。

 試験室温(20℃/60%RHに温調)よりも10℃(または20℃)高い温度に設定した純銅製の蓄熱箱(BT-Box)を断熱ステージ上の試料(室温と同じ温度)の上に置き、蓄熱箱から試料に流れ込む熱流束を計測します。

 熱流束は蓄熱箱と試料との接触直後(0.2sec後)にピークとなり、徐々に小さくなりますが、q-maxとは、このピークの時の熱流束(W/cm2 or J/cm2/sec)をいいます。(図1)

 試料間でq-max値に0.01W/cm2以上の差があると有意差があるとされます。
夏用の敷布として冷触感が喜ばれる素材のq-maxは0.2~0.25以上あります。

 冷温感は、単位面積あたりの熱流束ですから、冬用のシーツとしては、モケット生地など出来るだけ身体との接触面積が少ないものが良いことになります。

【定常熱伝導測定 (K(W/cm/℃))】
 定常熱伝導とは、外界(入熱または放熱対象)と定常状態ある試料の熱伝導をいいます。試料内のある場所の温度が時間的に変化しない状態であり、位置によって温度が違っていたとしても、一つの場所に注目すればどれだけ時間が経っても温度が変化しない状態での熱伝導のことです。

            
                図2 定常熱伝導

 KES-F7による計測は、室温(20℃)と同じ温度の水を循環させたWater Box(低温側)の上に厚さLの試料を静置し、この上に室温より高めの温度に調整した純銅製の蓄熱箱(BT-Box)を置いて、蓄熱箱の熱損失速度(W, J/sec)を測定し、次のフーリエの式から熱伝導率(W/cm/℃)を求めます。

 W[熱損失速度]=k[熱伝導率]*A[蓄熱箱と試料の接触面積]*⊿t[温度差]/L[試料厚さ]

 フーリエの定常熱伝導式は、任意の場所における温度が時間によらず一定
(∂2t/∂L2=0)から求めたものですから、図2の高温側、低温側の温度が一定であることと、素材の内部が均質であるという前提条件があります。

 主な非金属固体の熱伝導率(W/m/K, 20~30℃)
羊毛編み物:0.040  絹服地:0.042  木綿生地:0.093  シリコンゴム:0.35
コンクリート:0.5~0.6  乾燥木材:0.15~0.25  塩化ビニル:0.17


【保温性試験 (保温率%)】
 保温性試験は、蓄熱箱(BT-Box)に試料を載せたときと載せないときの蓄熱箱からの熱量損失差を測定し、保温率(%)を求める試験です。

 風洞内に試料と30~35℃に調整した蓄熱箱をセットし、20℃/60%RHに温調した試験室の空気を風洞内に流し、風速別(無風、微風(0.3m/sec)、強風(1m/sec))の熱量損失を計測し、次式で保温率を求めます。

 

 保温性試験は一般的に乾燥した試料(ドライコンタクト法)で行いますが、衣服素材の場合、着用で汗をかいた場合を想定し、ウエットコンタクト法での計測をすることもあります。

            
                 図3 保温率測定器

【測定試料サイズ】
接触冷温感 q-max  :3*3cm
定常熱伝導 k     :5*5cm
保温率 %      :10*10cm

※ 機器貸付料および依頼試験手数料
・機器貸付料(カトーテック(株)KES F-7)    1,530円/hr
・依頼試験手数料 熱伝導率測定        3,590円/試料
         保温度試験(q-maxや保温率) 3,870円/試料


【後記】

「アルミ蒸着シートの被服材料としての保温性評価」
 非常時やアウトドアでの防寒対策として注目されているアルミ蒸着シートについて、上記表題の試験報告が東京都立産業技術研究所研究報告第6号(2003)に記載されている。

 未蒸着フィルムとの比較でアルミの蒸着に効果があることを認めているが、インナーウェアとアルミ蒸着シートとの間に十分な空気層が保てるような用法(浮かし置き)でないと保温効果は期待できないし、寒冷期用厚着服の上に使用しても効果は小さいとしている。
保温性は、空気層の確保があくまでも重要ということである。

晩秋の朝霜をイメージしたフォトは著作権フリーサイト
http://www.photolibrary.jp/からです。


 お問い合わせ
 新潟県工業技術総合研究所  素材技術支援センター
   TEL 0258-62-0115



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