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【技術レポート】洗濯についてNo.1:洗濯で衣類はどれくらい縮まるの?




 近年、家庭での洗濯方法がこれまで国内で主流であったパルセーター式の他、欧州で主流のドラム式も選べるようになってきました。これを受けて、JIS規格においても洗濯による寸法変化率の試験方法などにドラム式洗濯を採用するよう見直しが始まっています1)

 今回はドラム式洗濯機とパルセーター式洗濯機を用いて、各種繊維素材に対する洗濯試験を実施し、その洗濯方式による布への影響を比較調査することで、洗濯方式の特徴をまとめましたので紹介します。まず最初に、各洗濯方式の特徴を表1に示します。

           表1 洗濯方式の比較表
  ドラム式 各洗濯方式
洗濯機外観
主な使用国 ヨーロッパ 日本
特 徴 たたき洗い
(ドラムからの落下による)

もみ洗い
(水流による)
重 量 約80~100kg 約30~40kg
時 間 長い 短い
洗 剤 低発泡洗剤 一般用
水 量 少ない やや多い
*出展:日本機械学会誌 2003.9 Vol.106 B.1018


 では、実際に条件をそろえて洗濯をした場合、ドラム式とパルセーター式で洗濯物への影響は出るのでしょうか?下記のようにJIS規格を参考に洗濯方法をそろえて実施してみました。

『洗濯方法』
JIS L0217-1995 付表1 記号別の試験方法-洗い方(水洗い)103法(遠心式脱水装置付きの家庭用洗濯機)を参考に行いました。

【試料:被洗濯物】(図1参照)
 ①JIS 添付白布(綿、ポリエステル、毛、絹:ほつれを防ぐために四方をロックミシンで縫ったものを試料とした)
 ②タオル
 ③Tシャツ

【洗濯条件】
 液温 40℃、 浴比 1:30、 洗剤 部屋干しトップ(ライオン(株)製)
 「5分洗濯→脱水→2分すすぎ洗い→脱水→2分すすぎ洗い→脱水」を1回の洗濯としました。

【乾燥条件】
乾燥は、各測定時の前のみ行い、それ以外は乾燥させずに連続で洗濯を行いました。JIS添付白布は「平干し」、Tシャツとタオルは「吊り干し」としました。乾燥条件は温度20℃、湿度63%RHの条件下で10時間以上保持しました。

『洗濯による寸法変化率測定』
洗濯による寸法変化率の測定は、JIS L1909:2010に準拠して行いました。今回は、変化の大きかった毛(ウール)の洗濯回数ごとの寸法変化率の結果を図2に示します。その他の素材については、お問い合わせください。

『結果』
洗濯方式による寸法変化率の差は小さいことがわかります。たて糸方向については、5回洗濯以降に大きく収縮することがわかりました。毛にはキューティクル(スケール)があり、濡れることでキューティクルが「開き」、乾燥することで「閉じる」を繰り返します。また、洗濯によって繊維がもみ込まれることで生地が元に戻ることができず、縮んでしまうと言われています。

          図2 毛(ウール)の寸法変化率結果


また、表2には、洗濯10回後の各洗濯物に対する寸法変化率の結果をまとめました。


   表2 各洗濯物の寸法変化率結果(洗濯10回)
  方向 ドラム式 パルセーター式
綿 たて糸方向 -5.1 -5.9
よこ糸方向 -6.0 -5.4
PET たて糸方向 -0.3 -0.4
よこ糸方向 -0.3 -0.1
毛(ウール) たて糸方向 -5.1 -5.2
よこ糸方向 -6.0 -5.6
たて糸方向 -6.0 -5.2
よこ糸方向 -0.5 -0.5
タオル たて糸方向 -1.1 -0.8
よこ糸方向 -4.9 -4.5
Tシャツ たて糸方向 -3.7 -4.7
よこ糸方向 -15.6 -13.4


 今回の試験によって、10回の洗濯によるドラム式とパルセーター式の洗濯による寸法変化をまとめることができました。皆さんも洗濯でどのくらい生地の寸法が変化するのかを知る目安に使っていただければ幸いです。

1)経済産業省 産業技術環境局環境生活標準化推進室,”繊維製品の洗濯絵表示 JIS改正の検討について-JIS L0217のISO3758との整合化-“,2013.

次回は、洗濯による繊維表面へのダメージについて、解説します。

お問い合わせ
 新潟県工業技術総合研究所 素材応用技術支援センター
  TEL 0258-62-0115




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