日本自転車振興会

 平成16年度公設工業試験研究所の設備拡充補助事業

 完了報告

 

【 補助事業の概要 】

 

(1)事業の目的

新潟県における機械金属中小企業の技術水準の高度化と技術指導の充実強化を図るため、当工業技術総合研究所の設備を拡充し、機械工業の振興に寄与する。

(2)実施内容等

水道関係部品の生産を行っている上越地方の多数の企業では、水質基準の改正に伴い水道水に含まれる鉛許容限が定められたため、その部品の材料を鉛快削材から代替材の鉛レス銅合金へ切り替える必要がある。しかし、鉛レス銅合金は、切削性が悪く、工具寿命が短いという問題がありこの解決が課題となっている。そこで本研究では、鉛レス銅合金製水道関係部品の高精度化を目的として、切削工具の寿命と加工製品の寸法精度の定量化を行った。

定量化を行うにあたっては、様々な切削条件下で加工を行い、切削時間とともに劣化する工具と加工された製品の寸法精度を評価する必要がある。その真円度については「高精度・真円度円筒形状測定機」で、その表面粗さについては「三次元粗さ輪郭形状測定機」で、その形状については「三次元測定機用データ処理装置」を入れ替えた三次元測定機でそれぞれ評価を行った。また、各種測定を行う際には、「切断機」を用いて試料の切断を行った。これら測定結果によって、そのデータの変化から工具の劣化を数値化することができ、適切な切削条件や市販工具の中で適したものを把握することが可能となった。

本事業で設置した設備を用いることによって、鉛レス銅合金製水道関係部品の高精度化に役立てることができた。

【 予想される事業実施効果 】

 

今回の研究により切削性を評価する方向性が見出され、高精度化に関する多くの課題を解決する有効な方法を得ることができた。この成果は、水道関係部品加工企業だけでなく、他の機械部品等加工企業にも有効に活用できると考えられる。

更に、県の工業技術総合研究所においては、補助事業で整備された研究機器を使用して、地場産業に密着した加工製品の高精度化に関する研究を行うとともに、日常的に発生する企業からの技術相談についても、当該設備を使用して企業支援を行っていく予定である。

これらの研究や技術支援をおこなうことにより、地場産業の活性化につながるものと考えている。

【 本事業により導入した設備 】  

 

(1)三次元粗さ輪郭形状測定機

設置場所 新潟県工業技術総合研究所上越技術支援センター

用途   機械加工部品の表面粗さ測定及び三次元形状測定を行う。

(2)高精度・真円度円筒形状測定機

設置場所 新潟県工業技術総合研究所上越技術支援センター

用途   円筒形状精密機械部品の形状制度の測定

(3)三次元測定機用データ処理装置

設置場所 新潟県工業技術総合研究所上越技術支援センター

用途   三次元測定機からのデータを処理し、被測定物の三次元形状を測定する。

(4)切断機

設置場所 新潟県工業技術総合研究所上越技術支援センター

用途   金属試料の精密切断を行い、各種試験のテストピースを作成する。

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