工技総研ニュース No.10 (1998.9)
    目 次

  1. 表紙
  2. 時報
  3. センターは今
  4. 技術通信
  5. 設備紹介

<表紙>   戦略技術開発研究課題

高精度工作機械の研究開発

↑戦略技術開発研究「高精度工作機械の研究開発」
で製作した高精度CNC円筒研削盤のプロトタイプ機

(研究の詳細については技術通信をご覧下さい。)

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<時報>
 新しいイメージの醸成を    

    新潟県商工労働部 新産業振興課    

       課 長  由良 英雄 氏


 平成10年6月20日に新産業振興課長に就任したばかりの由良氏を訪ね、今後の抱負などについてインタビューしました。


Q. お忙しい中、時間を割いていただきありがとうございます。
それでは、簡単に自己紹介をお願いします。

 私は、昭和42年に京都府綾部市という所で生まれ、洛星高校を卒業後、昭和60年に東京大学法学部に入学し、平成元年に通産省に入省しました。
 以後、工業技術院、環境立地局、科学技術庁等で産業を支える技術開発の推進や、技術の安全性・信頼性といった技術政策の仕事を経験してきました。
 ここに来る前は通産省流通産業課で大規模小売店舗立地法や中心市街地活性化の業務に携わっていました。

Q. 新潟県の印象をお聞かせください。

 実際に赴任してからそれほど日が経っていませんが、それぞれの街に個性があり、また全体としてバランスがとれており、住みやすいと思います。朝の混雑もそれ程ではなく、職住近接という感じがします。それから、何と言ってもお酒をはじめ魚や山菜などの食べ物も大変おいしいところが気に入っています。
 ただ、やはり雪国の印象が強かったものですから冬場の雪が一番心配です。新潟市内は私が考えていた程は雪が積もらないとのことなので、一応、安心はしていますが、実際には「新潟の冬」は未経験ですのでやはり不安は残っています。

Q. 就任して本当に間もないですが、新潟県の産業施策に対する抱負をお聞かせください。

 技術施策について言えば、テクノタンク構想を中心に体制整備が整ってきており、今後更に具体的成果につなげていく段階に来ていると考えます。様々な施策がある中で、たとえ小さなものでも着実に効果のある施策をやっていけたらと思います。
 県内でも色々な産業が着実に発展してきていますから、「新潟県の産業はこんなに新しいことをやっているんだ」という県としての新しいイメージを対外的にアピールしていく必要があると考えています。
 例えば、寺泊と言えば「魚のアメ横」を連想するように、イメージを先行させることによって、県外企業から「新潟県の企業と付き合えば、何か良いことがありそうだ」と感じてもらえる、そんな何となく魅力のある新潟県のイメージを作る仕事が少しでもできたらと思います。
 ところで、「科学技術」という言葉に対比して「産業技術」という表現があります。これは、言ってみれば「大学と民間」という関係に置き換えられるのかもしれませんが、これら二つの関係を今後どうコーディネートしていくべきか積極的に考えたいと思っています。
 もう一つ、せっかく新産業振興課という名称をいただいていますので、工業関係だけではない三次産業の分野にどれだけの施策をつくっていけるかということもテーマとして考える必要があるでしょう。

Q.最後になりますが趣味などをお聞かせください。

 最近、日頃の運動不足を痛感し、健康と体力の維持を兼ねて水泳を始めました。
 他に挙げるとしたら、旅行です。昔、ニューヨークに留学していた時期にトルコからイスラエル〜ヨルダン〜エジプトまで予定を決めずに一人旅をしたことがあります。
 こちらでも県内外を広く回ってみたいと思っています。新潟は山や海岸線の景観も綺麗で、日帰りでドライブするだけでも十分に旅行気分が楽しめますから。

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<センターは今>


平成10年度 工業技術総合研究所の重点事業

●研 究 開 発

1 研究開発事業

・ 戦略技術開発研究 [研究開発センター]

<まいご老人保護システムの開発>  

<糸状素材のマイクロハンドリング機構の研究>(特別研究員招聘)
<日本海側気候に対応した住環境維持管理システムの研究>
<高精度自動X線材料評価システムの研究開発>(特別研究員招聘)
 
・共同研究 [研究開発センター]

自動絣柄合わせ織機に関する研究(クロス21研究会と共同研究)

微粉体焼結技術の高度化研究(マコー(株)、(有)西鉄工所、(株)永島工機と共同研究)
3次元レーザー加工機の高精度、短時間加工(板垣金属(株)、(株)ツバメックスと共同研究)
友禅ゴム糸目を水系薬品で除去する研究((株)シルクワークと共同研究)
高信頼性水晶振動子に関する研究((株)サンリードと共同研究)
高精度エンプラ歯車評価技術の研究((株)丸互と共同研究)
 
・信越スーパーテクノゾーン推進研究 [研究開発センター 他]

レーザーを利用した表面改質及び微細加工工程の省エネルギー化研究

5.5Kw-CO2レーザーを用いた溶接技術の研究(委託先:(株)レーザー応用工学センター)
 
・新潟、福島、山形公設試験研究機関共同研究[研究開発センター他]

高次伸縮糸の開発とニット製品への応用(分担課題)

 
・デザイン・企画技術開発研究[デザインセンター]

座標軸分析によるコンセプトメーキング研究、民族紋様構成要素の解析研究

2 戦略研究会開催

 5分科会(産業機械分野、新化学製品・新エネルギー分野、新インテリア・エクステリア分野、環境・福祉分野、マルチメディア分野)

3 産学官研究交流事業

・特別研究員招聘    客員数2名 担当研究:戦略技術開発研究(2テーマ)
・大学院派遣研修    2名(新潟大学大学院自然科学研究科、3年間)
・研究職員短期国内留学 1名(神戸大学、6カ月間)
・民間企業派遣研修   1名(東日本旅客鉄道株式会社新津車両製作所、1年間)

●技 術 指 導

4 中小企業技術指導事業

・企業間リンケージ形成支援
・現地技術指導
・技術アドバイザー派遣
・実用研究(通年型)
・小規模研究

●人 材 養 成

5 技術者養成事業

・研究開発技術者養成(技術支援センターが行う実用研究への参加受付)
・試験機器利用技術講習(技術支援センター設置機器の利用技術講習、随時受付)

●情 報 提 供

6 技術高度化情報提供事業

・工業技術情報ネットワークシステムによる情報提供 (工技ネット新潟)
・中央データベースの情報検索提供
・デザイン情報提供

●依 頼 試 験

7 依頼試験事業

・依頼試験
・試験機器貸付


 以上、多方面にわたる事業を行っています。関係各位におかれましては、これらの事業を有効にご活用いただくと共に、事業の推進に当たってのより一層のご理解とご協力をお願いします。

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<技術通信1>

世界トップクラスの高精度円筒研削盤が完成!

 平成7〜9年度の戦略技術開発研究「高精度工作機械の研究」では精度に関して世界のトップにランクされる高精度CNC円筒研削盤のプロトタイプを製作しました。

 機械仕様

図1 高精度NC円筒研削盤の外観

最大研削長さ及び径 長さ 600mm
径  300mm
砥石最大回転数  2000/min(油)
10000/min(空気)
送り分解能 0.01μm

 主な特徴としては、以下の4点が挙げられます。

  1. 砥石台を送るX軸案内及び工作物を送るZ軸案内を対向式油静圧案内とした。
  2. ボ−ルネジと送りテ−ブルの締結にフロ−テイング構造を用いた。
  3. 両持ち構造の砥石軸受けとし、下記2式を開発した。
    1. )高精度・高剛性用途の油静圧軸受け
    2. )高周速用の空気静圧軸受け
  4. 外部センサ(温度、歪み、振動等)からの信号を入力し、補正値としてNCデ−タに反映可能なオープンNCシステムとした。

 本研究では当研究所の図面を基に、県内の企業で製作した主要機械部品の加工精度を測定後、それらを組み合わせた機械要素(案内、砥石軸受け等)の運動精度を評価しました。

 そして、各機械要素を組立調整後、NC装置を取り付け、研削加工試験を行いました。

 その結果、工作物移動案内の真直運動精度は0.1〜0.2μm/250mm、円筒状部品を研削した場合の真直加工精度は0.18μm/190mmであり、世界トップレベルの機械運動精度及び加工精度であることを確認しました。

工作物 直径×長さ:35×220mm、材質:SCM 435、硬度:HRC 50〜60

図2 研削加工精度の測定例

 この研究で開発された装置は半導体などの加工装置、工作機械部品、測定機部品等の精密加工分野への応用が期待されます。

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<技術通信2>

企業間リンケージの成果

 企業が新製品開発や新分野進出、あるいは付加価値の向上のために、社外に求める技術、設備、素材情報等に関して、工業技術総合研究所で所有する企業の様々な技術情報を活用してコーディネートを行っています。(これを企業間リンケージと呼んでいます)

 平成9年度にうまく解決した事例の一部を紹介致します。

例1)自動車部品の金型加工をしてくれる企業は?
→ 県央地区の金型製造メーカーの技術協力
 
例2)プラスチック製特殊保持具の成型加工のできる企業は?
→ 下越地区のプラスチック成型メーカーの技術協力
 
例3)ステンレス製化学薬品容器製造技術を持つ企業は?
→ 県央地区の企業の技術協力
 
例4)シールド繊維の製造技術のある企業は?
→  中越地区の繊維メーカーの技術協力
 
例5)切削油の油煙ミストの分析のできる企業は?
→  上越地区の計測分析法人の技術協力
 
例6)老人等の人体支え移動装置の開発に協力してくれる企業は?
→  上越地区の機械加工を得意とする企業が技術協力
 
例7)発熱体を樹脂で封印したいが、協力してくれる企業は?
→  上越地区のプラスチック加工を得意とする企業が技術協力

 一方、次のような加工、処理ができる技術力のある企業を探しています。

  1. SKSにセラミックを張り付ける技術
  2. 断面が楕円の鉄パイプの溶接技術、ステンレス製ピンの転造加工技術
  3. セラミック製歯車を製造する技術
  4. アルミ切削屑のプレス技術
  5. 硬質アルマイト処理技術
  6. ステンレス、アルミ、プラスチックスに文字等を刻むレーザー加工技術
  7. 小型圧着端子のかしめ技術

 これらについて詳しい内容をお知りになりたい企業は、最寄りの技術支援センターへ御連絡下さい。

 県内企業のみなさん。今後も技術支援センターを通じて企業間リンケージを大いにご利用ください。

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<設備紹介>

 工業技術総合研究所の試験・研究機器の購入は補助金等の交付を受けて財源の一部としています。日本小型自動車振興会 からの補助金(小型自動車等機械工業振興事業補助金)によって平成9年度に導入された設備機器をご紹介します。(設置場所:中越技術支援センター)


設備名 自動精密切断機
メーカー ストルアス社 製
種類・型式 アキュトム50
主な機能・用途 金属、セラミック、複合材料の等の精密切断を行う。最大切断能力:回転ありφ80mm、回転なしφ40mm

設備名 自記分光光度計
メーカー (株)島津製作所 製
種類・型式 UV-2500PC
主な機能・用途 液体、フィルム、物体表面の紫外可視光領域の吸収スペクトル測定を行う。測定波長190〜900nm、フィルムホルダー、φ60mm積分球装置、5°反射測定装置付き

設備名 アナライジング交流電源
メーカー (株)高砂製作所 製
種類・型式 AAX6013XS
主な機能・用途 電源に関する各種試験に対応する交流電源。出力電圧:3相交流0〜520V、直流±400V、出力周波数:0.001〜1200Hz

設備名 精密万能試験機
メーカー (株)島津製作所 製
種類・型式 島津オートグラフAG−100kNG−M1
主な機能・用途 金属、プラスチック材料等の強度試験に使用する。試験荷重容量100kN、荷重測定範囲0.05〜100kN、引張り曲げ、圧縮試験治具、恒温槽−35〜250℃

設備名 ガウスメータ
メーカー 電子磁気工業(株)製
種類・型式 GM−4001
主な機能・用途 材料の磁束密度の測定を行う。測定レンジ4mT〜4T

設備名 ハイブリットレコーダ
メーカー 横河電機(株)製
種類・型式 DR232−1−11−00−1M/S5
主な機能・用途 各種測定データの記録を行う。直流電圧、熱電対、測温抵抗体、パルス測定、ひずみ測定、交流電圧、交流電流測定等に対応する。

設備名 超純水装置
メーカー ヤマト科学(株)製
種類・型式 WQ−500
主な機能・用途 化学分析用の超純水を製造する。超純水比抵抗18MΩ、採水量0.5リットル/分

設備名 ネットワークアナライザー
メーカー アンリツ電子(株)製
種類・型式 MS4630A
主な機能・用途 信号の振幅比、位相差を測定して電子部品、回路のアナログ特性を評価、解析する。周波数測定範囲10〜300MHz、位相範囲±180°、スペクトラムアナライザ-測定範囲 9k〜3GHz

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工技総研ニュース 平成10年度第1号 通巻第10号 平成10年9月
編集/新潟県工業技術総合研究所 企画管理室