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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

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普通鋼について


中越技術支援センター  
主任研究員 斎藤 雄治

 普通鋼は鉄鋼材料の中で最も多く作られ、利用されています。主な化学成分は、炭素(C)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)の5元素です(鋼の5元素といいます)。建物や乗り物などの骨格部分に使われることが多いため、JISでは引張強さや耐力が規定されることが多いです。ここでは、よく使われる普通鋼について簡単に説明します。

【一般構造用圧延鋼材(SS:Steel Structure)】
 鋼で最も多く生産され、車両・建築・船舶等の骨組みとして広範囲に使用されています。一般用途(素材の種類が鋼板、平鋼、棒鋼、形鋼と豊富にあります)と溶接構造用(板厚50mm以下に適用されます。ただし、重要な溶接部には使いません)があります。
JISでは、SS330~SS540が規定されており、SSの後に続く三ケタの数字は引張強さの最低値(単位 N/mm2)を表します。主要元素の量は細かく規定されていません。焼入れをしないで使用します。常温~300℃で使用します。

【溶接構造用圧延鋼材(SM:Steel Marine)】
 一般用途(SSと同じ種類の鋼材がありますが、流通量はさほど多くありません)と溶接構造用(溶接性が高いため板厚の制限はありません)があります。
JISでは、SM400~SM570が規定されており、SMに続く三桁の数字は引張強さの最低値(単位 N/mm2)を表します。溶接に適する鋼材で、溶接割れを低減するため炭素量を0.18~0.25%に抑えています。末尾につくアルファベットA~Cは最低使用温度(A:常温、B:0℃、C:-10℃)を表します。焼入れをしないで使用します。なお、Mはマリーンの頭文字で、過去に船舶用に用いられていたことに由来します。

【ボイラおよび圧力容器用鋼板(SB:Steel Boiler)】
 ボイラ、圧力容器用(鋼板しかありません)の鋼材です。
JISでは、SB410~SB480Mが規定されており、SBに続く三桁の数字は引張強さの最低値(単位 N/mm2)を表します。材料の耐熱性を高める(高温になっても強度が低下しにくい)マンガンを多く添加しており、約400℃まで使用可能です(一般的な炭素鋼では300℃以上は強度が低下するため使えません)。末尾にMがつくものは耐熱性をさらに高める目的でモリブデンが添加されており、約500℃まで使用可能です。焼入れをしないで使用します。

【冷間圧延鋼板および鋼帯(SPC:Steel Plate Cold)】
 常温に近い温度で圧延して作られている代表的な鋼材です。安価で加工性も良く表面がきれいなため、板金やプレス加工に多用されます。SPCに続くC~Gの記号は加工性(Cは一般加工向け、Gは超深絞り向け)を表します。焼入れをしないで使用します。


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700