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【実験メモ】電子顕微鏡による破面観察のためのスケール除去
中越技術支援センター
主任研究員 斎藤 雄治
企業から、鋼材で作られた機械部品の破面の電子顕微鏡観察を依頼されることがあります。このとき、破面に熱処理等によるスケールが付いていると、破面観察が困難となります。破面に付いたスケールは薬品によって除去できる可能性がありますので、ここでは薬品による破面のスケール除去を試みました。
供試材は機械構造用合金鋼鋼材SNCM439で、これを直径37mm、高さ25mmの円筒形状に加工後、軸方向に直径10mmの貫通穴をあけて試験片としました。ここで、貫通穴は焼割れを容易にするためにあけています。
この試験片を950℃に1時間保持後に水冷の焼入れを行いました。焼入れ後、試験片は貫通穴の近くで焼き割れしました。この焼き割れした試験片の破面を電子顕微鏡で観察した結果を
図1
に示します。焼割れによく見られる粒界破面となっていることが分かります。
次に、この試験片を600℃で2時間保持後に空冷して、破面にスケールを付けて電子顕微鏡で観察しました。その結果を
図2
に示します。表面にスケールがついており、粒界破面が確認できません。
そこで、スケールを付けた破面について、薬品によるスケール除去を試みました。スケール除去に用いた薬品は、日本メカケミカル(株)製の防錆剤KC-12です。スケールを付けた試験片をこの薬品に1時間浸漬してスケールを除去した後、電子顕微鏡で破面の観察を行いました。その結果を
図3
に示します。図3は図1ほど明瞭ではありませんが、粒界破面を確認することができます。このように、破面のスケール除去を適切に行うことにより、電子顕微鏡で破面観察を行うことが可能となります。
図1 焼割れした破面
図2 スケールを付けた破面
図3 スケールを除去した破面
問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
中越技術支援センター
TEL 0258-46-3700
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