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自社でOKだった寸法値が客先でNG?


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 企業から三次元測定機などを使った寸法測定を依頼されることがあります。依頼される理由の中に、「自社で測定した結果と客先で測定した結果が異なるため」というものがあります。自社と客先で測定結果が異なる理由はいろいろ考えられますが、私は、以下の二つが主な理由ではないかと考えています。

1.測定物の座標系
 三次元測定機で寸法測定をするには、はじめに、測定物の座標系(ワーク座標系)を設定する必要があります。このとき、図面にデータムが指示してあればそれに従ってワーク座標系を設定します。「データムよりこちらの要素のほうが測りやすいから、それを基準にしてワーク座標系を設定しよう」などと、勝手に基準を変えてはいけません。ワーク座標系をどう設定するかによって、その後に測定した寸法や幾何公差の値が異なることに注意を払う必要があります。

 また、図面にデータムが記載されていない場合は、測定者が「これがデータムだろう」と思われる要素を基準にワーク座標系を設定するため、測定者ごとに寸法測定の結果が異なる可能性が高くなります。このような場合、どこを基準にとってワーク座標系を設定するのか、事前によく打ち合わせておくことが必要です。

2.測定する位置
 平面、穴、軸などの測定要素については、測定する位置に注意が必要です。例えば、平面の場合は穴の周囲で盛り上がっていたり、端の方はだれていたりします。また、穴の場合は入口、中間、出口で穴径が少しずつ異なりますし、シャフトも端部と中央部では直径が異なってきます。このため、測定する位置が異なれば、当然のことながら穴径などの結果も異なります。

 測定位置は図面に指示されていることもありますが、多くの図面には指示されていません。取り付ける相手方の部品のことを考慮しつつ、穴径は深さ何mmのところを何点測定するか、といったことを、事前に決めておく必要があります。

終わりに
 三次元測定などの寸法測定は、「高精度」というイメージがありますが、測り方によって本来OKとなるべきものがNGになったり、逆にNGのものがOKになったりすることもあり得ます。寸法測定は、「測り方」によって結果が大きく異なることを意識することが大切です。


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700