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硬さ試験の結果の解釈について


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 硬さ試験は、鉄鋼材料などの機械的性質を比較的容易に知ることのできる便利な試験ですが、便利であるが故に注意して欲しいことがあります。ここでは、トラブルにつながりやすい注意点を二つ挙げます。

1.測定位置
 一種類の材料でできている部品の場合、部品の硬さ(強度)は場所(例えば表面と内側)によらず一定でしょうか。実は、場所によって異なるのがふつうです。鋼材については、浸炭焼入れや高周波焼入れではもちろんですが、調質や焼ならし等の熱処理を行った場合についても場所によって冷え方(冷却速度)が異なるため金属組織が異なり、その結果として硬さも異なります。このため、部品の硬さを測定する場合は、位置をあらかじめ決めないと、後々トラブルになることがあります。

 実際にあった話を紹介します。工場で作られた機械部品(熱処理を行ったもの)の硬さ値が図面指示におさまっていても、納入先で硬さ不良と判定されることがあります。この場合の原因は、測定する位置が違うことでした。この部品は調質という熱処理を行っていたのですが、一般的に調質後の硬さは、高めの値がでる位置とそうでない位置があります。トラブルがあった後、この部品についてもいろいろな位置の硬さを測り、高い値がでる位置とそうでない位置があることを確認しました。その上で、両者で相談して測定位置を同じにした上で、図面指示の硬さにすることが取り決められました。

 このように、熱処理品は場所によって硬さが異なってくるため、測定位置をあらかじめ決めておくことが重要と考えます。

2.硬さ換算表
 自社のロックウェル硬さ試験機で測った品物の硬さ値と、図面で指示されているブリネル硬さを比較するときなどで、換算表を使うことがあります。この場合、換算値はあくまでも参考値であることに注意が必要です。

 硬さは明確な定義がないため、ブリネル、ロックウェル、ビッカースなどいろいろな試験方法があります。試験方法によって、圧子に加える力の大きさ、圧子の形状・サイズが異なります。一般的に、鋼材の硬さは深さ方向に少しずつ小さくなります。この場合、ロックウェルやビッカースなどの圧痕が小さい試験機で測ると高めの硬さ値になり、ブリネルのように圧痕が大きい試験機で測ると低めの硬さ値になります。「ロックウェル硬さ試験機のCスケールで試験したらHRC45だったので、硬さ換算表を使うとブリネル硬さHB421に相当する。図面指示がHB400~450だから合格だ。」などと判断している場合、実際にブリネル硬さ試験機で測ったらどうなるか、一度検証することをお勧めします。

 換算表に載っている引張強さにも注意が必要です。場所によって部品の硬さ(強度)が異なるうえ、材料には目に見えない残留応力も存在しています。このため、硬さ値から換算した引張強さは、あくまで参考値に留めておくことをお勧めします。


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700



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