本文へスキップ

新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

Topページ > 中越技術支援センター > 【中越技術トピック】製品・部品の強度について

製品・部品の強度について


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 当センターでは、製品・部品の強度試験を材料試験機で行うことがあります。その際、以下のような相談がよくありますので、ここで解説してみたいと思います。

【製品の強度を耐荷重として商品に記載してよいか】
 例えば、材料試験機を使って、椅子の座面に上から徐々に力を加え、椅子が破損するまでの最大荷重を測定する場合を考えます。いま、椅子を一個試験したところ、最大荷重が201kgf(1971N)という結果が得られました。この椅子のカタログに耐荷重200kgfと記載するのは適当でしょうか?

 答えは「No」です。理由は二つあります。一つ目は、椅子の強度にはばらつきがあることです。上記の例では1個の椅子だけの試験結果であるため、全ての椅子が200kgfに耐えるかどうかは分かりません。このため、数個の椅子について試験を行い、椅子の強度の平均とばらつきを求めて、椅子の強度を統計的に評価する必要があります。

 二つ目は、椅子にかかる力の種類にはいろいろあることです。材料試験では椅子に加える荷重を徐々に増やしていきます。このような荷重のかけ方を静荷重と呼んでいます。しかし、椅子に静かに座らずドスンと座ることも想定しなければいけません。このような荷重のかけ方を衝撃荷重と呼んでいます。衝撃荷重は静荷重よりかかっている時間は短いのですが、荷重そのものは大きいため、製品・部品に大きな負担をかけます。

 では、製品・部品の耐荷重はどのように決められているのでしょうか。一般的には、製品の強度を安全率というもので割った値を耐荷重としています。ここで、製品・部品の強度は、強度試験や計算で得られた結果を用います。安全率は、製品にかかる荷重の種類(静的、衝撃、繰返、等)や、製品・部品の強度のばらつきの大きさ等によって経験的に決められています。一般的な鋼材の安全率については、例えば、静荷重3、繰返荷重5、衝撃荷重12*などがあります。

【製品の強度をN/mm2で表示して欲しい】
 例えば、材料試験機を使ってフックを引っ張り、破断するまでの最大荷重を測定する場合を考えます。この試験を行ったところ、最大荷重が1トン(9810N)という結果が得られました。この試験結果を応力の単位(N/mm2)で表記することは可能でしょうか。

 答えは「No」です。強度試験の結果を応力の単位で表記できるのは、JISで規定された試験方法で試験した場合に限ります。例えば、引張試験片の場合、破断する位置が試験片の中央部になるよう、また、その位置で長手方向だけの応力状態(一軸応力状態といいます)になるように、試験片の寸法が規定されています。このため、最大荷重を断面積で割って応力の単位として強度を評価できます。一方、製品の場合は破断部位の応力状態が一軸応力状態とはならず複雑になるため、その部分の断面積が分かっていても、最大荷重を断面積で割った値をその部位の応力として評価することはできません。

【参考文献】
*小峯、図解入門よくわかる最新機械工学の基本、p110、秀和システム、2005年


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700



バナースペース