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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

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鋳鉄の化学成分


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 鋳鉄でよく使われているねずみ鋳鉄品(FC)や球状黒鉛鋳鉄品(FCD)については、化学成分がJISで規定されていません。わずかにJISの「解説」に載っているFCDの化学成分についても、炭素が2.5%以上というざっくりとした表記となっています。化学成分の目安というのはないのでしょうか。

 先日、(一社)日本鋳造協会主催の『「鋳鉄鋳物製造現場のQ&A」に基づく鋳鉄の不良と対策事例講演会』を聴講してきました。現場技術者が日ごろ疑問に思っていることについて、講師の先生方からわかりやすく講義をしていただきました。この講義の中でFCとFCDの化学成分の目安についても解説がありましたので、今回はそれを書こうと思います。なお、以下の数値はあくまで目安であり、規格や標準ではありませんのでご注意下さい。

【炭素当量(CE)が最も重要】
・炭素(C)とケイ素(Si)の量で表す。
・炭素当量 CE=C+Si/3

【FCとFCDのCE】
FC
・CEを亜共晶(4.3%未満)にする。
・FC250は3.4C%以上、FC300は3.25C%以上が目安。
・Siはチルが出ない範囲で少ない方がよい。Si量が少ないと高強度になり、肉厚感受性も小さくなり、引けも出にくい。
・引けと肉厚感受性をともに小さくする配合の理想は、3.2~3.25%C、1.1~1.2%Si。
・硫黄(S)は0.06~0.08%。

FCD
・CEを過共晶(4.3%超)にする。
・3.65C%、2.15Si%(薄肉は2.4Si%まで)が目安。
・過共晶になりすぎない(浮上黒鉛が多くなる)。特に、肉厚50mm以上は注意。

【FCDの強度の調整】
・生地組織のパーライト量を銅(Cu)とスズ(Sn)で調整。
例)FCD600は0.3~1%Cu、FCD800は1~1.5%Cu(Snは0.01~0.02%)
・マンガン(Mn)で調整しない(理由は次の説明のとおり)。
・溶湯中にマンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)が多い場合
 これらの元素が偏析した部分にパーライト組織ができるため、黒鉛の数が減少して引けが大きくなりやすい。凝固が遅いほどこの傾向は大きい。接種を何回も行って黒鉛粒数を多くすることで引けが減り、偏析も小さくなる。

【FCDのマグネシウム(Mg)量】
・引け巣が最小になる量は0.025~0.03%。多すぎると介在物、引け、ドロスが増える。


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700



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