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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

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応力腐食割れについて


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 当センターには、企業から金属製品・部品の破損等のトラブルに関する相談が多く寄せられます。ここでは、その中から応力腐食割れについて解説します。

 応力腐食割れとは、部品に引張応力が加わっていて、特定の腐食環境にさらされると割れる現象です。引張応力については、機械加工や熱処理で生じる残留応力や使用時に加わる応力が挙げられます。引張強さの1/10程度の小さい引張応力でも応力腐食割れにつながります。応力腐食割れしやすい材料は、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、SUS316など)や黄銅です。ステンレス鋼は塩素雰囲気で、黄銅はアンモニア雰囲気で、それぞれ応力腐食割れしやすくなります。

 オーステナイト系ステンレス鋼では、溶接等で結晶粒界にクロム炭化物が析出して鋭敏化したり、表面が強加工されてマルテンサイトという硬い金属組織になると、通常の状態に比べて応力腐食割れしやすくなります*。黄銅は、フェノール樹脂と組み合わせて部品の状態で密閉した容器内に保管しておくと、容器内でアンモニアガスが発生して応力腐食割れするという事例が知られています**

 ここで、応力腐食割れの事例を二つ紹介します。一つ目は、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304製の金具の応力腐食割れです。海に近い地域で使われていたもので、破断部に近い位置の金属組織を観察したところ鋭敏化していました。このことから、応力腐食割れを起こしやすい状態であったことが推定されます。二つ目は、黄銅製の金具の応力腐食割れです。アンモニアガスが発生する雰囲気で保管されていた状態で割れたものです。破断面は応力腐食割れに特有な羽毛状破面と呼ばれるものでした。

 応力腐食割れは、応力、腐食環境、材料の三つの因子が揃わないと割れません。このため応力腐食割れの対策としては、どれかの因子をなくす(あるいは少なくする)ことになります。

    
   図1 SUS304製の金具の破断面     図2 黄銅の金具の破断面
   (電子顕微鏡写真、粒界割れ破面)   (電子顕微鏡写真、羽毛状破面)

【参考文献】
* (社)日本熱処理技術協会編、入門・金属材料の組織と性質、2004年、235-246ページ、大河出版
** http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CA0000161.html


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700



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