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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。

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硬さ試験機の使い分け


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 当センターには、主に鉄鋼材料向けとして、ブリネル、ロックウェル、ビッカース、マイクロビッカース、ポータブルの5台の硬さ試験機があります(図1)。ここでは、これらの特徴や用途について説明します。

【ブリネル】
 ワーク表面上に直径5mmまたは10mmの超硬合金の球の圧子を接触させ、上から500kgf~3000kgfの決められた試験力で押しつけて丸いくぼみをつける試験機です。できたくぼみを真上から見て、くぼみの淵の円の直径を顕微鏡などで測り、計算式や換算表を使って硬さ値を求めます。くぼみの直径は最大で5mm程度と大きいため、鍛造品や鋳物など材料の平均的な硬さを評価する場合等に使用します。ブリネル硬さの記号はHBやHBWです。

【ロックウェル】
 ワーク表面上に直径1mmの鋼球または円錐形のダイヤモンドの圧子を接触させ、上から50kgf~150kgfの決められた試験力で押しつけて丸いくぼみをつけ、できたくぼみの深さを自動計測して硬さ値を計算・表示する試験機です。試験機の操作が簡単な上、くぼみの大きさはコンマ数mmと小さいため、熱処理工場などで部品の表面の硬さを評価する場合等によく使われます。ロックウェル硬さの記号はHRAやHRC等です。

【ビッカース、マイクロビッカース】
 ワーク表面上に角錐形のダイヤモンドの圧子を接触させ、上から1gf~20kgfの力で押しつけて正方形のくぼみをつけ、できたくぼみを真上から顕微鏡で見て、対角線の長さを測定して硬さ値を計算・表示する試験機です。くぼみの大きさは最大で0.5mm程度と小さいため、その小さなくぼみの大きさを正確に測定するには、測定面をほぼ鏡面に研磨しておく必要があります。表面硬化材、被膜、溶接材などの断面の硬さ分布の測定に向いています。特に、押しつける力が小さい(1gf~2kgf程度)マイクロビッカース硬さ試験機については、断面の硬さ分布をより細かく測定するのに適しています。ビッカース硬さの記号はHVです。

【ポータブル】
 試料表面に小さな球を衝突させて反発する速度を測定し、反発速度÷衝突速度 からリーブ硬さという硬さ値を計算・表示する試験機です。小型で持ち運びが容易のため、現場での測定に向いています。リーブ硬さのほか、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、ショア硬さ、引張強さの換算値も表示できます。ただし、圧痕が小さいため、試料の表面が滑らか(表面粗さが小さい状態)になっている必要があります。

【まとめ】
 硬さ試験によって得られる硬さ値は、圧痕ができる部分の平均的な硬さとなります。圧痕の大きさは、ブリネルが最も大きく、ロックウェル、ビッカース、マイクロビッカースの順に小さくなります。材料の平均的な硬さを測定したい場合には、ブリネル硬さ試験機を使って大きな圧痕をつけ、反対に表面硬化した材料の断面の硬さ分布を細かく測定したい場合には、ビッカース硬さ試験機等を使って小さい圧痕をつけます。

 このように、当センターの硬さ試験機は様々な用途に対応できるよう、各種取り揃えております。どうぞご利用ください。


図1 当センターにある硬さ試験機


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700