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金属製品の破損について(疲労破壊)


 中越技術支援センター 
主任研究員 斎藤 雄治

 当センターには、企業から金属製品・部品の破損等のトラブルに関する相談が多く寄せられます。ここでは、その中から疲労破壊について解説します。

 疲労破壊とは、材料が長期間に渡って繰り返し応力を受けると、応力の大きさが材料の引張強さよりかなり小さい応力でも亀裂が発生し、最終的に割れに至る現象です。この現象は金属材料の破壊として有名ですが、樹脂などの材料にも起こることが知られています。疲労破壊は機械部品の破壊の種類の中で最も件数が多いものです。疲労破壊を起こす最小の応力というものがあり、それを疲労限度と呼んでいます。一般的に鉄鋼材料では、疲労限度以下の繰り返しの応力では疲労破壊が起こらないとされています。また、引張強さが大きくなるにつれて疲労限度が高くなる傾向にあります。

 ここでは、疲労破壊した機械部品の事例を紹介します。図1にその破断面を示します。図1で薄く円弧上に見える模様(矢印部)がビーチマークです。ビーチマークの模様から、破壊の起点や応力のかかり方を推定することができます。図1ではAの位置が破壊の起点で、曲げ応力の繰り返しで疲労破壊したことが推定できます。

 この破断面を電子顕微鏡で数千倍に拡大した写真を図2に示します。図2では細かい縞模様が見えていますが、この縞模様をストライエーションと呼んでいます(矢印部)。ストライエーションの一本一本の間隔が、一回の応力で亀裂が進んだ距離を表します。また、図2においてストライエーションはわずかに円弧状になっています。ストライエーションは、円弧の中心から円周の方向に亀裂が進んだことを表すため、図2の大きな矢印の方向に亀裂が進んでいったことが分かります。

 さて、疲労破壊は部品の一番弱い位置(最も大きい応力が生じる位置)で始まります。例えば、シャフトの段付部などが挙げられます。先ほど示したねじの疲労破壊についても、応力が集中しやすいねじの谷部で亀裂が始まっています。シャフトの段付部には応力を逃がすための丸み(Rと言います)が取られていることが普通ですが、私がこれまでに見てきた疲労破壊の事例では、Rが小さいまたはほとんど無い部品もかなりありました。Rが小さいと、その部分に生じる応力が大きくなり(応力集中といいます)、疲労など破壊のリスクが高まるので注意が必要です。

 また、機械加工や熱処理で生じる残留応力にも注意が必要です。曲げ加工した内側の部分など引張の残留応力が生じる箇所については、外からの力(外力といいます)によって生じる応力と残留応力との和が生じていることを意識する必要があります。なお、鋼材表面に生じる残留応力については、X線応力測定という方法で測定することが可能です。



  図1 ねじ部品の疲労破面      図2 図1のBの拡大(電子顕微鏡写真)


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       中越技術支援センター
         TEL 0258-46-3700



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