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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。


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センシング技術の農業応用に関する調査研究
事例紹介(その2) 「小型コンピュータを用いた生育情報の収集」
 「センシング技術の農業応用に関する調査研究」プロジェクトでは、AI・IoT時代の農業を見据え、最適な方法で農作物の生育情報を取得することにチャレンジしています。得られた生育情報は養水分管理などの生産工程の自動化に活用でき、次世代の農業に貢献できるものと考え、研究開発に取り組んでいます。

 先回のトピックスでは生育状況を画像処理で数値化する事例を紹介しました。今回は画像処理で用いたコンピュータへフォーカスをあてたいと思います。

1.小型コンピュータ
 オフィスや家庭で使用するようなパソコン(図1)を画像処理に利用することは可能ですが、農業現場の限られたスペースでは設置ができなかったり、ファンから土ぼこりが入って故障したりする点が問題となります。

   図1 パソコン(左:デスクトップ型、右:ノート型)
 近年コンピュータは小型化、小電力にともなうファンレス化、低価格化が進み、図2のような小型コンピュータ(Raspberry財団製 Raspberry Pi)は名刺サイズの大きさで数千円で購入できます。これは農業分野で活用できそうです。

       図2 小型コンピュータ
 図1のパソコンに比べて、図2の小型コンピュータは価格面や大きさの面でメリットがありますが、性能面では劣ります。 計算スピードが遅いので、複雑な処理を行う場合は注意が必要です。 その場合はソフトウェアを工夫するなどして対応する必要があります。

2.小型コンピュータの事例
 この小型コンピュータを利用して、作物を撮影した事例を紹介します。 小型コンピュータは今回Raspberry Piを使用しました。 図3のようにイチゴの栽培現場に小型コンピュータを設置し、イチゴを上方から撮影しました。 装置の設置場所は農作業の妨げにならないよう配慮しています。 図4は前回と同様に撮影した画像からイチゴ部分の画素を検出した結果です。

図3 小型コンピュータの設置

   図4 撮影した画像と画素検出
3.おわりに
 今回は小型コンピュータを画像処理に使用しましたが、用途はそれだけにとどまりません。 例えば自宅のパソコンと同様にインターネットなどのネットワークにも簡単に繋げることができます。 あらゆるものがインターネットにつながるIoTの考え方がありますが、こういった小型コンピュータを使ってIoTにトライすることができます。 センシングとネットワークの事例についても次回以降のテーマとしたいと思います。

 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       企画管理室 主任研究員 木嶋 祐太
       E-mail