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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。


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センシング技術の農業応用に関する調査研究
事例紹介(その3) 「トマト栽培ほ場で様々なセンサのデータ収集」
 「センシング技術の農業応用に関する調査研究」プロジェクトでは、AI・IoT時代の農業を見据え、最適な方法で農作物の生育情報を取得することにチャレンジしています。 得られた生育情報は養水分管理などの生産工程の自動化に活用でき、次世代の農業に貢献できるものと考え、研究開発に取り組んでいます。

 今回はトマトの栽培ほ場において様々なセンサのデータ収集を実施した事例を紹介します。 センサから得られたデータは無線通信を用いて10分ごとにデータ収集サーバへ送信し、記録しました。 データ収集サーバには先回紹介した小型コンピュータを利用しています。

1.無線通信を用いたデータ収集について
 トマトの栽培ほ場へ様々なセンサを設置してデータを集めました。 今回は栽培ほ場の温湿度、土壌の水分、トマトの茎径、日光の照度、カメラの画像のデータを集めました。 離れた場所にあるデータ収集サーバへデータを集めるためには経路を用意しなくてはなりません。 センサの数が多いので有線の場合は配線が大変です。 そこで今回は電波を使ってデータを送信する無線通信を利用しました。
 今回はZigBeeと呼ばれる無線モジュールを使用しました。 図1のような通信システムを構築するため、各センサと無線モジュールからなる電子回路(子器)を製作し、データ収集サーバに親器の無線モジュールを取り付けました。 データ収集サーバと子器が通信するためのプログラムを試作し、栽培ほ場でのデータ収集の実験を試みました。

    図1 通信システムの概略図

  
     図2 データ収集サーバ

    図3 電子回路(子器)
2.栽培ほ場でのデータ収集の実験
 新潟県農業総合研究所 園芸研究センターのご協力をいただき、上記のシステムを実際にトマトの栽培ほ場(図4)へ設置して、データ収集を試みました。 図5は栽培ほ場を上から見た図で、①~⑤のセンサを図の位置に設置しました。 また●の位置にデータ収集サーバを設置しました。
①照度センサ、温湿度センサ
②温湿度センサ
③土壌の水分センサ
④茎径センサ(USB接写カメラ)
⑤USBカメラ

   図4 トマトの栽培ほ場

 図5 栽培ほ場を上から見た図

 図6 ①照度センサ、温湿度センサ

   図7 ③土壌の水分センサ

    図8 ④茎径センサ
      (USB接写カメラ)

    図9 ⑤USBカメラ

3.データ収集サーバ
 データ収集サーバはインターネットから活用することを想定し、Webブラウザを用いて測定されたデータの確認とカメラの撮影操作ができるようにしました。 データ収集サーバとパソコンをLANで繋げて、パソコンのWebブラウザでアクセスすると、図11のように測定されたデータを確認できます。 この測定されたデータは表計算ソフトなどでグラフ表示もできますし、様々な利用が考えられます。

   図10 Webブラウザ画面1

   図11 Webブラウザ画面2
4.おわりに
 今回は無線通信を使ってデータ収集サーバにデータを収集した事例を紹介しました。 データは現在も収集中です。 データ収集サーバでは茎径センサ(USBカメラ)で撮影されたトマトの茎の画像を画像処理し、茎径を自動算出しています。 収集したデータや茎径測定の画像処理についても今後紹介したいと思います。

 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       企画管理室 主任研究員 木嶋 祐太
       E-mail