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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。



SCM435の金属組織と旧オーステナイト結晶粒界

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1.はじめに
 前回は機械構造用炭素鋼S45Cについて、焼入温度や保持時間を変えたときに金属組織や旧オーステナイト結晶粒の大きさがどのように変わるか調べました。今回は、機械構造用合金鋼SCM435について同様な実験を行ったので結果を紹介します。
2.実験
・供試材 :SCM435(φ20×20mm)、カッコ内は試料の大きさ
・実験装置:ヤマト科学(株) 電気マッフル炉 F0410
      (株)ニコンインステック 倒立型金属顕微鏡 TME3000U-NR型
・熱処理 :焼入温度…850℃, 900℃, 950℃、保持時間…15分, 60分、冷却…油冷
      焼戻し… 600℃で2時間保持後に空冷
・金属組織:試験片断面を鏡面研磨および腐食後、金属顕微鏡で観察
・腐食液 :①硝酸アルコール溶液 HNO33ml、エチルアルコール 97ml
      ②(株)山本科学工具研究社製 AGSエッチャント
      ※50℃に加熱して15分浸漬後、1%水酸化ナトリウム水溶液で中和、水洗

3.実験結果
 図1~3に、850、900、950℃の各温度で焼入れ後に600℃で焼戻した結果を示します。図より、腐食液①で腐食すると焼戻しマルテンサイト組織が見られ、腐食液②で腐食すると旧オーステナイト結晶粒界が見られることが分かります。また、同じ保持時間で比較すると焼入温度が高いほうが組織が粗く、旧オーステナイト結晶粒が大きいことが分かります。さらに、同じ焼入温度であっても、保持温度が長くなると組織が粗く旧オーステナイト結晶粒が大きくなることが分かります。
 このように、金属組織が粗くなると旧オーステナイト結晶粒が大きくなることが分かります。一般的に金属組織が粗くなると耐衝撃性(靭性)が低下するので、靭性が求められる部品の熱処理においては、必要以上に焼入れ温度を高くしないことが大切です。

焼入温度850℃の結果
図1 焼入温度850℃の結果

焼入温度900℃の結果
図2 焼入温度900℃の結果

焼入温度950℃の結果
図3 焼入温度950℃の結果


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       県央技術支援センター   斎藤 雄治
       TEL:0256-32-5271  FAX:0256-35-7228

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