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引張強さと試験速度(SPCC材)

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1.はじめに
 鉄鋼材料の引張試験を行う際、試験速度を決める必要があります。JIS Z2241金属材料引張試験方法で試験速度が規定されていますが、試験速度が決められている理由は耐力や引張強さが試験速度によって変わる可能性があるためです。
 ここでは、冷間圧延鋼板SPCCの試験片について、クロスヘッド変位速度を変えて引張試験を行ったときに耐力や引張強さがどのように変わるかを調べました。なお、この試験は平成30年2月に実施したものです。

2.実験
・試験片 :冷間圧延鋼板 SPCC 13B号試験片(板厚0.8mm)
・実験装置:インストロンジャパンカンパニィリミテッド製 万能材料試験機 5582
・試験速度:2、4、10、100、200 mm/min
・伸び計 :ビデオ伸び計(レンズf25、画角100mm、照明アレイ500mm)
・試験項目:耐力(オフセット法)、引張強さ、破断時全伸び

3.実験結果
 クロスヘッド変位速度を2~200mm/minの範囲で変えたときの公称応力-公称ひずみ線図を図1に示し、耐力、引張強さ、破断時全伸びの試験結果を表1に示しました。各試験速度について一本ずつの結果ですが、クロスヘッド変位速度が大きくなるにしたがい耐力と引張強さは大きくなることが分かります。また、破断時全伸びはクロスヘッド変位速度が大きくなるにつれて小さくなる傾向が見られます。


公称応力-公称ひずみ線図
図1 公称応力-公称ひずみ線図


表1 引張試験の結果
クロスヘッド変位速度 (mm/min) 耐力 Rp0.2(MPa) 引張強さ Rm(MPa) 破断時全伸び At(%)
2 188 327 41
4 192 330 42
10 208 334 40
100 219 341 38
200 231 345 39


 さて、JIS Z2241金属材料引張試験方法において、鋼の場合は次のようにクロスヘッド変位を制御することが規定されています。
・耐力の測定まで:応力増加速度が3~30MPa・s-1
・それ以降:ひずみ速度が0.003~0.008s-1
 今回行った試験のクロスヘッド変位速度に対する応力増加速度とひずみ速度を表2に示します。表2から、クロスヘッド変位速度に対して、応力増加速度やひずみ速度はほぼ比例して変化していることが分かります。また、JIS Z2241で規定されている応力増加度とひずみ速度を満たすクロスヘッド変位速度は、本試験片については、応力増加速度は2~10mm/min、ひずみ速度は10mm/minとなることが分かります。ただし、JISで規定されている範囲にクロスヘッド変位速度を設定しても、表1に示したように試験結果は異なってくるため、クロスヘッド変位速度の決定や変更の際には注意が必要と考えます。


表2 種々のクロスヘッド変位速度に対する応力増加速度とひずみ速度
クロスヘッド変位速度 (mm/min) 応力増加速度 (MPa・s-1) ひずみ速度(s-1)
2 5 0.0006
4 11 0.001
10 30 0.003
100 296 0.03
200 663 0.06


 問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
       県央技術支援センター   斎藤 雄治
       TEL:0256-32-5271  FAX:0256-35-7228

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