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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。


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鋼の結晶粒度評価のウェブアプリ

1.はじめに
 今回は、焼入れした鋼材の旧オーステナイト結晶粒などの結晶粒度を評価するためのウェブアプリを作成しました。このアプリは、結晶粒界を現出させた金属組織画像を読み込み、結晶粒度を表す指標である粒度番号を切断法1)によって求めるものです。ウェブアプリの作成には、OpenCV2)という画像処理専用のライブラリを用いています。
 本トピックスの2にウェブアプリを示し、3でウェブアプリの使い方を説明します。サンプル画像やお持ちの顕微鏡画像でぜひお試しください。
 なお、このウェブアプリは令和3年10月に作成したものです。

2.ウェブアプリ

読み込み中

 
   


3.ウェブアプリの使い方
(1) 一番上に「準備完了」と表示されていれば使用できます。
(2) 結晶粒度を評価する金属組織画像の「倍率」と、画像をその倍率で表示したときの「画像の幅」を入力します。
例えば、倍率500倍の金属組織画像を倍率どおりに表示したときの幅が142mmになる場合、倍率に500、画像の幅に142と入力します。
(3) 「ファイルを選択」*をクリックして金属組織画像を読み込みます。
*ご使用のブラウザによっては「参照」などと示される場合もあります。
数秒後、読み込んだ画像上に三つの同心円(試験線)と結晶粒界との交点が描画されます。
結晶粒界ではない位置に交点が描画される場合は、(5)に示すように編集してください。
(4) 画像を読み込んだ後、「倍率」、「画像の幅」、「ノイズ除去」の値を変更して「再計算」をクリックすると、数秒後に変更した条件に対する交点が描画されます。
交点が多く描画されている場合、「ノイズ除去」の値を大きして「再計算」をクリックすると、交点の数を減らせます。
(5) 試験線上に描画されている交点を編集します。
交点を追加する場合は左クリック、削除する場合は右クリックします。
交点を追加・削除するたびにアプリの一番下の結果(「交点の数」、「試験線の実長さ」、「試験線1mm当たりの交点数」、「粒度番号(参考値)」)が更新されます。
(6) 表示されている画像は「画像のダウンロード」で保存できます。
保存ファイル名は、元のファイル名_(倍率_画像の幅_試験線1mm当たりの交点数_粒度番号).jpgとなります。

【注意点】
・JIS G0551の内容をご理解の上、お使いください。
・お使いの環境によっては、動作しなかったり、処理に時間がかかる場合があります。
・試験線が三重点に交わる場合、JIS G0551では1.5と数えると規定していますが、本アプリでは対応していません。
・意図しない動作の可能性があるため、画像ファイル以外は読み込まないでください。
・本ウェブアプリの利用により生じた損害等について、当研究所は責任を負いません。

サンプル画像(結晶粒界を現出させたSUS304とSCM435の組織画像です。お持ちのパソコンにダウンロードしてウェブアプリに入力してください。これらの画像の倍率は500倍、幅は142mmです。)

サンプル画像
鋭敏化したSUS304の金属組織(10%シュウ酸水溶液による電解腐食)

サンプル画像
焼入れしたSCM435の金属組織((株)山本科学工具研究社のAGSによる腐食)

参考文献
1) 日本規格協会, JIS G0551(2020) 鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法
2) https://opencv.org/

  問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
        中越技術支援センター   斎藤 雄治
        TEL:0258-46-3700   FAX:0258-46-6900
        Mail:info@iri.pref.niigata.jp