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新潟県工業技術総合研究所は、工業系の技術支援機関です。


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SUS420J2の熱処理条件と硬さの関係

1.はじめに
 前回のトピックでは、マルテンサイト系ステンレス鋼SUS420J2について種々の熱処理条件に対する耐食性や金属組織を調べた結果を紹介しました。このトピックについて、ご覧になった方から「硬さも知りたい」との要望がありましたので、今回は硬さ試験を行いました。

2.実験
・試験片 :前回、金属組織観察に供した観察面を鏡面研磨したもの
・実験装置:(株)明石製作所製 マイクロビッカース硬度計 MVK-G2
・実験内容:各試験片について、鏡面研磨面の3か所の硬さを試験(HV0.5)し、それらの平均を算出

3.実験結果
①生材の硬さ
 生材(納入状態)の硬さは185 HV0.5となりました。
②焼入れ温度を変えたときの硬さ
 図1に焼入れ温度950、1050、1150℃に対する硬さを示します。ここで、焼戻し温度は200℃です。焼入れ温度が高いと硬さ値が大きくなる(硬くなる)ことが分かります。

焼入れ温度を変えたときの硬さ
図1 焼入れ温度を変えたときの硬さ

③焼戻し温度を変えたときの硬さ
 図2に焼入れおよび種々の温度で焼戻したときの硬さを示します。ここで、焼入れ温度は1050℃です。硬さは、焼入れ時から300℃までは直線的に低下し、400~500℃にかけては上昇し、500℃を超えると急激に低下していることが分かります。400~500℃の硬さの上昇は二次硬化によるものと考えられます。

焼戻し温度を変えたときの硬さ
図2 焼戻し温度を変えたときの硬さ

④焼入れ時の冷却方法を変えたときの硬さ
 焼入れ温度1050℃から油冷したときは573HV0.5、空冷したときは572HV0.5と、ほぼ同じ硬さになりました。いずれも焼戻し温度は200℃です。


  問い合わせ:新潟県工業技術総合研究所
        中越技術支援センター   斎藤 雄治
        TEL:0258-46-3700   FAX:0258-46-6900